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パスを持つエフェクト

カスタムエフェクトは、合成ではピクセルあたり 1 回のサンプリングで行えない処理のために、フレームパスを持つことができます。低解像度でのブラー、シーンへの描画、時間をかけたフレームの蓄積などです。組み込みのブルーム、被写界深度、テンポラルアンチエイリアスは、パスを持つエフェクトです。

カメラフレームはエフェクトにパスを要求し、シーンの深度など、エフェクトが必要とするフレームリソースを渡し、各パスをそれが属するフレームのステージで実行します。エフェクトはパスをほかのレンダーパスと同じように作成し、通常はシェーダークアッドパスとして作成します。エフェクトのチャンクは、パスがレンダリングしたものを読み取れます。パスを持つエフェクトには、コンポーズスロットは必要ありません。

カメラフレームのステージ​

カメラフレームは、シーンをレンダリングするパスの間にある 5 つのステージで、エフェクトのパスをレンダリングします。

二重枠のボックスがステージで、エフェクトのパスはここで実行されます。

ステージ実行タイミング用途エンジンのエフェクト
preScene深度プリパスがレンダリングされる場合はその後、シーンの前。シーンのマテリアルが読み取るテクスチャのレンダリング。SSAOTYPE_LIGHTING タイプのアンビエントオクルージョン、ダイナミックスカイ
postOpaque不透明ジオメトリ、スカイボックス、シーンカラーのコピーの後、半透明ジオメトリの前。半透明ジオメトリより下になる、シーンへの描画。なし
postSceneシーンの後、シーンが解決される前。シーンへの描画。SSAOTYPE_COMBINE タイプのアンビエントオクルージョン、ボリューメトリックフォグ
resolveシーンの解決。アンチエイリアスなど、シーンカラーを読み取って新しいシーンカラーをレンダリングするパス。シーンの解決を参照してください。TAA、SMAA
postResolveシーンが解決され、その半解像度のコピーが作成された後、合成の前。ブルームなど、最終的なシーンカラーの処理。被写界深度、ブルーム、レンズフレア、自動露出

各ステージでは、エフェクトのパスはエフェクトが登録された順に実行されます。まず組み込みエフェクトが組み込みエフェクトに記載された順に実行され、その後にカメラフレームに追加されたエフェクトが追加された順に実行されます。ただし、insertEffectBefore でほかのエフェクトの前に挿入した場合は除きます。

フレームリソース​

エフェクトは必要なフレームリソースを requires オプションに列挙し、カメラフレームはエフェクトがアクティブな間それらを提供します。

リソース提供されるもの
FRAMERESOURCE_DEPTHresources.depth。シーンの深度。
FRAMERESOURCE_PREPASSDEPTHresources.prepassDepth。シーンのレンダリング前に深度プリパスでレンダリングされたシーンの深度で、preScene ステージのパス用です。
FRAMERESOURCE_SCENECOLORHALFresources.sceneColorHalf。解決されたシーンカラーの半解像度のコピー。
FRAMERESOURCE_SCENECOLORGRABresources.sceneColorGrab。不透明なシーンカラーのコピーのハンドルで、シェーダーは postOpaque ステージから uSceneColorMap としてサンプリングします。
FRAMERESOURCE_SCENETARGETresources.sceneTarget。シーンのレンダリング先のレンダーターゲットで、シーンに描画するパス用です。

リソースはパスが存在する間は同じオブジェクトのままなので、パスに一度渡すだけで済みます。リソースのテクスチャはキャンバスに合わせてサイズが変更されるため、サイズを保持しないでください。必要なリソースがパラメーターに依存するエフェクトは、requires をゲッターとしてオーバーライドします。

シーンの深度の格納方法はそれをレンダリングするものによって異なるため、シェーダーは格納方法を表す define を指定したうえで、screenDepthPS チャンクの getLinearScreenDepth 関数で深度を読み取ります。深度の define をシェーダーに渡し、深度のキーをシェーダーの一意な名前に追加して、格納方法の異なる深度がコンパイル済みシェーダーを共有しないようにします。

const { depth } = resources;
this.shader = ShaderUtils.createShader(device, {
uniqueName: `InkOutlineShader-${depth.key}`,
attributes: { aPosition: SEMANTIC_POSITION },
vertexChunk: 'quadVS',
fragmentDefines: depth.defines,
fragmentGLSL: inkGLSL, // "screenDepthPS" をインクルードし、getLinearScreenDepth(uv) を呼び出します
fragmentWGSL: inkWGSL
});

パスの作成​

エフェクトは createPasses で、必要なリソースからパスを作成し、各パスを実行されるステージの配列に実行順に追加します。1 つのエフェクトで複数のステージのパスを実行できます。パスは destroyPasses で解放します。

class InkOutlineEffect extends CameraFrameEffect {
width = 3;

_pass = null;

constructor(device) {
super(device, 'inkOutline', {
requires: [FRAMERESOURCE_SCENECOLORGRAB, FRAMERESOURCE_SCENETARGET, FRAMERESOURCE_DEPTH]
});
}

createPasses(resources, passes) {
// このパスは、不透明ジオメトリの後にシーンへ線を描画します
this._pass = new RenderPassInkOutline(this.device, this.cameraFrame.cameraComponent, resources.depth);
this._pass.init(resources.sceneTarget);
passes.postOpaque.push(this._pass);
}

destroyPasses() {
this._pass?.destroy();
this._pass = null;
}

// cameraFrame.update() から呼び出され、パラメーターをパスに適用します
update() {
this._pass.width = this.width;
}
}

エフェクトのレンダーターゲットにレンダリングするパスは、たとえば半解像度のシーンに追従させるために、resizeSource でそのサイズを設定します。テクスチャは参照で保持されるため、エフェクトのチャンクは、setUniform で設定したユニフォームを通じてパスがレンダリングしたものを読み取ります。

パスが再構築されるタイミング​

カメラフレームは、自身のパスを構築するときにエフェクトのパスを作成します。最初の CameraFrame#update で作成し、パスを再構築するたびに、以前のパスを destroyPasses で解放したうえで再び作成します。パスが再構築されるのは、カメラフレームのオプションが変更されたとき、パスを持つエフェクトが追加、削除、有効化、無効化されたとき、およびそのようなエフェクトの必要なリソースまたは buildKey が変わったときです。

buildKey は、パスの再作成が必要になるたびに変わる文字列を返します。つまり、パスのユニフォームではなく、パスそのものを変えるパラメーターです。パスが update で取り込むパラメーターは含めないでください。

buildKey() {
// 高品質ではパスが 1 つ多くレンダリングされます
return `${this.highQuality}`;
}

destroyPasses は、パスの構築時に非アクティブだったエフェクトなど、エフェクトがパスを持たないときにも呼び出され、destroy からも呼び出されます。そのため、例のように存在するものだけを破棄し、参照をクリアしてください。

フレームごとの値​

リソースはフレームごとに変わりません。シーンがレンダリングされる解像度や、テンポラルアンチエイリアスが 2 つのテクスチャを交互に切り替える解決済みのシーンカラーなど、フレームごとに変わる値は、どのパスもレンダリングする前に、毎フレーム frameUpdate に渡されます。

frameUpdate(frame) {
// パスのレンダリング先である、シーンのレンダーターゲットの 1 ピクセルのサイズ
this._pass.texelWidth = 1 / frame.renderWidth;
this._pass.texelHeight = 1 / frame.renderHeight;
}

シーンの解決​

パスが resolve ステージで実行されるエフェクトは、フレームの残りの部分が読み取るシーンカラーを、パスがレンダリングしたもので置き換えます。カメラフレームは毎フレーム、frameUpdate の前に、解決中のシーンを渡してエフェクトの resolveScene を呼び出します。エフェクトは、それより前のエフェクトが解決したシーンカラーをパスに渡し、そのシーンカラーを、このフレームでパスがレンダリングするテクスチャに置き換えます。

resolveScene(scene) {
this._pass.setSourceTexture(scene.texture);
scene.texture = this._pass.outputTexture;
}

アップスケーラーなど、シーンを別の解像度に解決するエフェクトは、シーンの width と height も設定します。

TypeScript​

TypeScript では、オーバーライドしたメソッドのパラメーターには基底クラスから型が付きません。フックの型である CameraFrameEffectResources、CameraFrameEffectPasses、CameraFrameEffectScene、CameraFrameEffectContext をインポートして、パラメーターに型注釈を付けてください。

import { CameraFrameEffect } from 'playcanvas';
import type { CameraFrameEffectPasses, CameraFrameEffectResources } from 'playcanvas';

class BlurEffect extends CameraFrameEffect {
createPasses(resources: CameraFrameEffectResources, passes: CameraFrameEffectPasses) {
// ...
}
}

例​

インクアウトラインエフェクトは、不透明なシーンの深度または明るさが急に変化する箇所に線を描画します。そのパスは postOpaque ステージで実行され、不透明なシーンカラーのコピーとシーンの深度を読み取ってシーンに描画するため、半透明ジオメトリは線の上にレンダリングされます。

Ink Outline